不肖の長男に遺産を渡したくない

私の長男は、日頃から素行が悪く、私や妻に暴力を振るうことがたびたびあり、親に遊ぶ金を無心することもしょっちゅうで、拒絶するとやはり暴行に及びます。こんな不肖の息子には財産を一円たりとも渡したくありません。
こういう子どもがいる場合は、しかるべき手続をすれば「勘当」のような扱いにできると聞きましたが、どのようにすればよいでしょうか。

■ 「相続人の廃除」には相応の理由が必要

子が親から嫌われることは、案外多いものです。
ところが、「あの子が気に食わないから」程度の事由では「廃除」が認められることはありません。

相続人の廃除は生前でも遺言ででもできますが、その事由として、「被相続人に対する虐待、侮辱、またはその他の著しい非行」と民法は定めています。
相続人の廃除は、遺留分までを剥奪するものですから、厳格に解されなければならないと考えられています。
実例としては、「業務上横領、詐欺罪で服役後、勤務先の金を横領。しばしば女性問題を起こし、現在所在不明」という相続人に廃除が認められたというものがあります。

冒頭のケースでは、犯罪歴まではないようですが、暴力や親の金の浪費といったことがあるようですから、「虐待、侮辱、またはその他の著しい非行」に当たる可能性はあります。

他方、非行を誘発したことについて被相続人にも責任がある場合や、被相続人とのぶつかり合いが一時的、感情的なものに過ぎない場合、親の反対を押し切って結婚してしまった場合などは、それを事由として廃除を求めたとしても認められないとされています。

■ 廃除の手続

被相続人は、その生前に相続人の廃除を家庭裁判所に申し立てます。
相続人の廃除は遺言によってもでき、遺言にその旨を記載し、遺言執行者は家庭裁判所に「廃除請求手続」を申し立てます。
その後調停や審判を経て、廃除が認められることになりますが、認められない場合もあります。

遺言で廃除するなら遺言執行者が必要

身分に関すること、例えば婚外子の認知などは、遺言執行者二指定された人にしかできないことになっています。
相続人の廃除も、相続人の身分にかかわることですから、この手続も遺言執行者でなければできないことになります。

廃除請求手続には、高度の法律知識が必要ですから、遺言執行者には弁護士をあてることをお勧めします。
法律知識のことをおくとしても、親族がよく知る親族を「はい、こいつ廃除たのむよ」のような気軽な心持ちでできることとは考えられません。
そういう面でも、冷徹という言葉が適切かどうかわかりませんが、あくまでも職務を感情抜きで遂行してくれる第三者が、遺言執行者としては適任者です。

■ 廃除の取消

生前に廃除を請求した場合、いつでもそれを取り消すことができます。
遺言で廃除の取消を求めることもできます。
この場合も遺言執行者がその請求を行います。
廃除のときは事由が必要ですが、廃除取消の事由を求められることはありません。

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