妻・前妻・前妻との間の子の間に予想されるトラブル

私は現在、2人目の妻と同居していますが、二人の間に子はありません。ところが、前妻との間にできた長男が一人いて、現在別居中です。長男は後妻を嫌っており、私とももう10年以上電話ひとつ手紙ひとつ交わさない絶交状態になっています。しかし、皆家族ですから、私の死後は仲良く遺産を分け合ってほしいのです。
また、別れたとは言え一時は私に尽くしてくれた前妻にも、いくばくかの財産をと考えていますが、妻の手前生前贈与はできません。
私の希望を円満に果たす方法はありますか。

■ 遺言で紛争を回避できる

最初に言えることは、前妻は相続人にはなりえないため、遺言をしなければ1円の財産も譲ることはできないということです。
遺言に「遺贈」を明記する必要がありますが、相続人の遺留分を侵害すれば、相続人が「遺留分減殺請求」を行って侵害された分を取り戻す可能性が高いケースと言えます。

また、前妻の子と後妻は仲が悪いので、穏便で友好的な話し合いがあまり期待できません。
もっとも、ここに前妻をからめなければ、遺言が無くとも法定相続に則って自動的に取り分は決まるではないか、という考えも成り立ちますが、遺言書が無い以上「遺産分割協議」は必要になりますから、この二人がスムースに心地よく話し合いを進めることができるとは考えられません。

そうなるといきおい、弁護士を雇うなどして、費用がかかります。
訴訟にでも発展しようものなら、余計にお金、時間、労力、精神的な疲労はかさんでいくことでしょう。

そこで、まず相続人である後妻と長男に対しては、「誰々には何々を相続させる」と遺言に明記します。
この際に遺留分を侵害しないよう、公平を期することが大切です。
次に前妻に対しては、「〇〇を遺贈する」と明記し、これも相続人の遺留分を侵害しないように注意を払います。

このような事情があるので、ここは遺言書もひとりで書くのではなく、専門家である弁護士に手伝ってもらうほうが無難です。
法律の専門家に任せれば、細かい部分も法律に則って判断してくれますので、思いがけない不備が残ることも防げるでしょう。
確かに書類作成費用を請求されますが、遺言を書かないか、書いたとしても不備のあるものを書いて無効になってしまい、結果として相続人が争いを起こしたときにかかる費用に比べれば、それよりも多くなることはほとんどありません。

■ 遺言執行者を指定して万全

遺言執行者を指定する義務はありませんが、遺言執行者は相続に必要な多くの手続を執行するのが仕事ですから、いたほうが良いわけです。

ところが、この場合は相続人の一人を遺言執行者に定めてしまうと、ただでさえ仲が悪いのですから、もう一人が非協力的でなかなか先に進まないというおそれもあります。

相続人がともどもに信頼する父の友人などがいてくれればその人でも結構ですが、やはり法律に精通した弁護士に依頼しておくのが最も安心です。
弁護士が遺言執行者を務めるときの報酬は、遺産総額の数%が相場です。

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