遺産の内容がわからない

先日父が亡くなりましたが、遺言書は書いていなかったようです。父はいろいろな資産を持っていたようですが、自分で管理していたため家族もその全貌を把握していません。遺産の分割協議もできない状態で、相続税を申告しなければならないと聞いていますが、とてもそんなことのできる状態ではありません。
遺産が多いためにもめるという話をよく聞きますが、誰も遺産の状況を把握していないので、喧嘩する以前の問題です。この先、何をどのようにすればよいでしょうか。やはり遺産分割でトラブルが起きるのでしょうか。

■ 遺言の内容がわからないために生じうるトラブル

遺言書が無い状態で、相続人を含め誰も遺産の内容を把握していないとなると、まずは遺産の内容を把握することから始める必要があります。

人が亡くなった時点から相続が始まります。
遺言が無い場合は、相続人が集まって「遺産分割協議」を始めなければなりません。
そして、死亡を知った日の翌日から数えて10ヶ月以内に、相続税を申告しなければなりません。

相続税は相続した人が申告するものですから、誰が何を相続するかが決まらないうちは申告ができません。
「全部でこれだけの遺産がありましたから、それに対する相続税を払います」ということもできなくはありませんが、これはたいてい、延滞金の膨張を防ぐための方途で、正確な申告ができる状態ではないわけです。
つまり、遺産の内容がわかっただけでは足りず、遺言も無いのですから、遺産分割協議を決着させなければ申告のしようがないわけです。

そこでまず、遺産の調査が必要になります。
これは相続人が行うこともできますが、家庭裁判所に「調査嘱託」を申し立てることもできますし、家庭裁判所調査官による調査、弁護士が行う「弁護士会照会」という手段で調査するなどの方法があります。

ただ、専門家が調査すれば万事解決かと言うとそうでもありません。
調査の結果には、相続人全員の同意が必要だからです。

「もっとほかに遺産があるはずだ」、「誰かが隠しているのでは」、「誰かが使ってしまったのでは」などの疑義がさしはさまれた場合、合意には至らないはずです。

このように、遺産の範囲について争いが起きている場合は、遺産分割協議が整う見込みがないため、訴訟を起こすしかありません。
調査の結果、遺産の範囲に納得できない相続人が、ほかの相続人を相手取って「遺産確認訴訟」を地方裁判所等に提起します。

この訴訟が決着して、ようやく遺産分割協議が再開できるわけですが、すでに訴訟にまで進み心がささくれ立っている相続人たちに、友好的でスムースな話し合いができるものかは大いに疑問です。

■ 遺言さえあれば・・・

遺言書を作成して、遺産の範囲を明確にしておけば、まず調査が不要になりますし、当然に遺産確認訴訟も起こりえません。
さらに遺言の中で、「何を誰に相続させる」とすべての遺産について指定しておけば、遺産分割協議も必要なくなります。
さらに、遺留分減殺請求が起きないように、遺留分に対する配慮もしておけば、被相続人が死亡したあと迅速に相続の手続に入ることができます。

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