遺言の撤回・変更

■ 遺言はいつでも撤回・変更できる

遺言は、書いたあとになって気が変わったり、誤りに気づいたりすることはよくあることです。
そこで法律は、一度書いた遺言の撤回、変更を認めています。

また、ひとつの原則として、遺言を全体で見たときに、互いに相矛盾する内容があるときには、新たに書かれたほうを採用する、という考え方があります。
このことは、必ずしも「撤回する」、「変更する」と書き加えなくとも良いことを示しています。
ただし、明確に「撤回」ないし「変更」と書くほうがわかりやすいことは明白ですので、そのようにするほうが良いことは当然です。

さて、自筆証書遺言の場合は、撤回したくなったら破棄してしまえば済みます。
これに対し公正証書遺言の場合は、原本が公証役場にありますので、手元の正本、謄本を破棄しただけでは、撤回したことになりません。
このときは、新たに撤回する旨を記した遺言を作成する必要があります。

なお、自筆証書遺言を撤回したいとき、破棄するのではなく古い遺言は残したまま、新たに「前の遺言を撤回する」という遺言書を作っても構いません。

また、公正証書遺言を撤回したいとき、撤回する旨をしたためた遺言書は、必ずしも公正証書遺言にしなければならないということではありません。
つまり、遺言として法的に無効でない限り、公正証書遺言の内容のほうがそうでない遺言のそれよりも強いということはありません。

■ 遺言の変更と訂正

さきに書いたとおり、古い内容に抵触する新しい遺言が書き足された場合、新しい内容のほうが有効となります。
つまり、そのことを見越して故意に古い内容に抵触する内容を書き足せば、古い内容を削除したり訂正する旨を書き入れたりしなくとも、遺言の変更がなされたことになります。

ただし、これも前述したことですが、遺言者以外の人からは変更したかったからそうしたのかどうかがはっきりわからない場合があるので、明瞭に「これこれの内容はこれこれと変更する」と書き加えるほうが無難です。

また、変更の内容が軽微な場合は、直接その部分を消したり加筆したりという手を加えれば済みます(公正証書遺言の場合はこの方法は使えない)。
この際には、自筆証書遺言の訂正のルールに従う必要があります。

要するに、遺言書を一度書いてしまったあとでも撤回や訂正はほぼ自由にできますので、遺言は早めに作成し、そのあとで変更したくなったらすぐに相応の対処をしていくという考えでいくべきです。

遺言書文例
上:全部を撤回する場合 下:一部を変更する場合

遺言者山田太郎は、平成23年4月1日付で作成した遺言を撤回する。

兵士25年5月25日
東京都港区青坂8丁目7番6号                 遺言者 山田太郎 印
遺言者山田太郎は、平成23年4月1日付で作成した遺言の一部を、次のように変更する。
「第二条中、『次の土地を次男山田清二に相続させる』を『次の土地を長女川野純子の夫川野和男に遺贈する』に改める」

平成25年5月25日
東京都港区青坂8丁目7番6号                 遺言者 山田太郎 印

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