遺産に不動産が多い場合

■ 共有となった不動産は相続人全員の同意がないと処分できない

遺言が無い相続の場合、遺産分割協議が成立するまでの間、すべての遺産は相続人の共有財産となります。

不動産も当然に例外ではなく、例えば処分しようとなっても相続人全員の同意がなければできません。
管理についても同様で、相続人全員の同意が必要になります。
「さしあたり私が住んで」などと既得権の取得に動こうにも、これもまた相続人全員の同意を得なければ勝手にはできないわけです。

もっとも、遺産分割協議がすんなり成立すれば、所有者が決まりますから後はその所有者が住むなり貸すなり売却するなりすればよいことです。

しかし、遺産分割協議が長引く場合は、新たに問題も起きてきます。
そもそも協議が整わないということは意見の対立が生じているわけですから、何をしようにも意見の一致は望めません。
つまりもめているケースでは、管理も処分も使用もできません。

これでは財産の価値はほとんどありません。
遺産分割協議がまとまらず調停にいたるケース、調停がまとまらず裁判になるケースもあります。
解決までに10年を超す年月を費やすケースもありますので、こうなっては疲れるばかりで誰も幸せになれません。

だからこそ、ここでも遺言をする大きな意味があります。
不公平や遺留分の侵害があるようではいけませんが、遺言をすれば、「〇〇の土地は妻に、□□のアパートは長女に、△△の家屋は長男に」というように、言ってみれば最初から所有者を特定できるので、協議の必要がなくなるわけなのです。

■ 相続税も払わなければならない

遺産に不動産が多い場合、世間でよく耳にするのが「相続貧乏」という言葉です。
相続税はお金で払わなければならず、不動産そのものすなわち物納が4認められる場合もありますが、あくまでも例外的措置です。
また、住宅ローンが残っている家を相続した場合は、ローンの支払い義務も相続人が相続しますので、この場合もお金が足りなければ家を売る必要に迫られる可能性があります。
家の評価額が低く、家をローン会社に返してもローンが残るケースは多々あります。

ところが、遺産分割協議が成立していなければ不動産の処分はできないか、全員の同意が必要となるわけですから、結局遺産からではなく相続人の貯蓄などの自腹から相続税やローンの支払いをする羽目になるのです。

■ 被相続人がするべき配慮

まず、不動産が多い場合は遺言は必須と考えましょう。
遺言書に「〇〇の土地は長男●●●に相続させる」など、すべての不動産およびそのほかの財産について、相続する人を明確に定めておけば、遺産分割協議を経ることなく、当該財産は直ちにその相続人の所有に移ります。

また、相続税の支払いを見越して、一部の不動産を売却して、その売却代金を相続させるのも一つのコツです。

農地など処分そのものが困難な不動産はもとより、それ以外の不動産でも、相続後に処分が必要になるような不動産は、遺さないことを前提に、換金を進めておくことも重要なポイントとなります。

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