オーナー会社の株式を分散させたくない場合

■ 株式分散の回避は事業継続の生命線

オーナー経営者の保有するその会社の株式は、民法の原則では、その死により法定相続人に分割して相続されます。
しかしそうなった場合、経営者が何人も生まれることとなり、事業の円滑な運営が難しくなる可能性が高まります。
誰が良い、誰が悪い、誰が有能で誰が無能ということだけでなく、船頭が多ければ船は山に登る譬えどおりです・

■ 株式の分散を回避し、スムースに事業継承するためのポイント

1. 現時以降の分散を食い止める
オーナー以外に会社の株式を保有している者があり、好ましくない第三者に株式を譲渡、売却してほしくないと思うときは、株式の譲渡に制限を設ける条項を定款に追加することができます。
ただし、株主総会において議決権の3分の2以上の同意が必要となります。

2. 事業承継者に株式の全部を相続させる遺言書を書く
事業承継者が相続人でない場合は「遺贈する」、相続人に対しては「相続させる」という表現になりますが、実用上の意味合いは同じです。
オーナー経営者の死後も事業を健全に継続させるためには、事業資産とあわせ自社の株式も全部を事業承継者へ譲るのが良いでしょう。

このときに注意しなければならないことは、やはり事業承継者以外の相続人の遺留分の侵害です。
遺留分減殺請求を起こされた場合、事業資産や自社株式が分割されたり売却されたりという結果も生じえます。

事業資産と自社株式を承継者に与えると、残る財産は遺留分に満たないようなことになりそうな場合は、事業継続が最優先課題である旨をすべての相続人に理解してもらい、可能であれば相続権放棄の意思表示をしてもらうことも考えなければならない場合もあるでしょう。
ただし、これは遺言で宣言しても無効になりますので、生前の話し合いが必須となります。

3. 「議決権制限株式」の発行
話し合ってと言っても、不公平は避けられないため同意が得られるとは限りません。
「何が何でも遺留分はもらう!」と主張する相続人に対し、廃除するといった強硬手段は認められません。

そこで、もっとスマートな方法として、同じ株式ではあっても議決権に制限を付すことができます。
この株式を事業承継者以外に相続させます。

事業承継者以外の人が保有する株式に議決権を殺しておけば、事業経営者は他の株主の意思に影響されることなく経営を継続することができます。
株主総会において3分の2以上の同意を得れば、議決権制限株式を発行することができます。

4. 「売渡請求条項」を定款に追加する
自社の株式を相続した者が会社にとって好ましくない人物である場合、会社はその者に対して当該株式の売渡を請求できるという決まりを設けるという方法もあります。

ただし、あくまでも「売渡を請求でき、請求を受けた者はこれを拒否できない」という規定であるため、買い取る側には相応の資金が必要となります。
そもそも現金を相続させれば遺留分を侵害しないのであれば、最初から現金を相続させるという考えもありますから、現金が無いために株式を好ましからざる人物に譲ったのであれば、この方法は使えないかもしれません。

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