渉外相続

■ 渉外相続と準拠法

国際結婚や国際養子縁組は増加の傾向にあります。
国をまたぐ相続には、必ず「どちらの国の法律が適用されるか」が問題になります。
こうした際に、従うべきとされる法律のことを「準拠法」と言います。
また、外国とのかかわりを有する相続を指して「渉外相続」と呼びます。

結婚、養子縁組、遺言、相続といった行為は、いずれも法律に則って行われ、日本で行われる婚姻や相続は、当然に日本の法律に基づいて行われます。
ところが、これらに外国人がかかわってくる場合、どちらの国の法律が準拠法となるかという問題が生じます。
そもそも婚姻や養子縁組が有効か無効かという争いが起こることもあります。
例えば遺言の方式については、
1. 遺言をした国
2. 遺言者が国籍を有する国
3. 遺言者が住所を有した国
4. 遺言者が常居所を有した国
5. 遺言にかかる不動産が所在する国
のいずれかの地の法律が準拠法になります。

それに対し遺言の成立や効力については、原則としては遺言者が国籍を有する国の法律となりますが、例外的措置により日本の法律に準拠する場合もあります。

■ 国際裁判管轄と外国裁判の承認

そもそもの問題として、どの国の裁判所に訴えをすべきかということがあり、これを「国際裁判管轄の問題」と言います。
また、前項の準拠法の目安は、日本で裁判した場合のことで、外国の裁判所ではまったく別の判断が下されるケースもあります。
ところが、では外国の裁判の判決を日本の裁判所が認めるかどうかという問題があり、これを「外国裁判の承認の問題」と言います。

■ 国が変わると相続の問題以前の問題もきわめて複雑に

「そもそもその婚姻は法律上有効か」といった紛争さえ起こりえます。
ここを解決しなければ相続以前の問題(先決問題)が残るわけで、ますます事は複雑になります。
こうした争いにも、準拠法、国際裁判管轄、外国裁判の承認の各問題が生じます。

そうなりますと、いかに専門家といえども、弁護士ですら判断が難しくなるのが現実です。
実際に、弁護士、各行政機関、大使館などに必ず相談が持ちかけられます。

このように、渉外相続は法律的に争いますと並々ならぬ苦労が予想されますので、夫婦であれ養子であれ、双方の相続人は共通の承諾事項を独自に定め、法的には争わないと確約しあうという手があります。
ただし、相続にかかわる全ての人が十分に納得する案が出来るかはわかりませんし、のちのちの心変わりや事情の変化もありえますので、安直に事は解決しないと覚悟するほうがよいのかもしれません。

■ 遺言はどこまで有効か

遺言も法律に基づく行為である以上、準拠法の問題、国際裁判管轄の問題、外国裁判の承認の問題、先決問題がからんできます。

そうなると、遺言のとおりにことが進むかは、日本の法律だけを考えればよいときよりも不透明になります。
それでも、財産を譲りたい人がいる場合は、遺言はしたほうがよいでしょう。
なんにせよ、相当に有能な専門家に相談する必要がありそうです。

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