婚外子の死後認知

■「認知」の意義とその目的

法律上は、母と子は当然に親子であるという認識があります。
それは、懐胎、出産という明確な現象に裏打ちされるものだからです。
ところが、父と子はこのような身体的なつながりが無いため、戸籍上の夫婦関係にないいわゆる内縁の妻の子との間には、法律上の親子関係は無いことになります。

内縁の妻との間の子にとって、戸籍上の父はいません。
そうなると内縁関係に基づく父親が亡くなっても、当然に相続人にもなれません。

これは事実上は不合理なことになってしまいます。
なぜなら、戸籍の上のことはともかく、この子にとって母と内縁関係にあった男性は、紛れもなく父親であるからです。

そこで、遺言書でその子を認知することによって、その子を相続人にすることができます。

が、そもそも、生前に「認知届」を役所に提出すれば、戸籍上法律上の父子となりますので、わざわざ遺言で認知する(死後認知)必要は必ずしもないわけです。

ところが、何らかの事情によって死後認知を選ぶことになることもあるでしょう。

■ 死後認知の手続

認知は、戸籍法の定めるところによれば、しかるべき届出を父親にあたる人が行うことが必要です。
死後認知の場合は、遺言執行者が、その就職した日から10日以内に、認知にかかる遺言書の謄本を添付して、役所に届出をしなければなりません。

その際には、戸籍法の次の規定に従う必要があります
● 存命の父親が届けをする場合は、母親の氏名および本籍
● 死亡した子を認知する場合は、死亡の年月日おならびにその直系卑属の氏名、出生の年月日および本籍
● 胎児の認知の場合、胎児の認知である旨と母親の氏名および本籍を記載し、母親の本籍地で届出をしなければならない

なお、成年の子を認知する場合には子の承諾が必要となります。
胎児を認知する場合には、母親の承諾が必要です。
また、父親または母親は、子が死亡した場合でも、その子に直系卑属(子、孫など)がある場合に限り、認知することが認められています。

■ 遺言で認知をする際の注意点

死後認知を選ぶ、すなわち遺言書で初めて子の認知に言及するということは、生前には明かせない、明かすことがはばかられるという事情があったと考えられます。

ところで、認知はいったんしてしまうと取り消すことはできませんが、遺言の撤回はできます。
さて、婚外子の認知をする旨遺言書にしたためた後、思いなおしてその部分を削除した遺言書に書き改めたとします。
婚外子の存在と、その子を認知するということを遺言で初めて知らされた相続人たちは、大いに色めき立ち悶着が生じないとも限らないと考えてのことかもしれません。

が、そもそも婚外子の存在は上記のような遺言書の変更を行ったとしても、ほかの原因で知られてしまう可能性もあります。
結論すれば、婚外子は生前に認知するようにしたほうが無難と言えます。

遺言書文例

                   遺言書

遺言者山田太郎は、次のとおり遺言する。
次の者は、遺言者と川原京子の間の子であるから、遺言者はこれを認知する。
  (本籍)
  (筆頭者)
  (氏名)

平成25年5月25日
東京都青坂8丁目7番6号              遺言者 山田太郎 印
                   遺言書

遺言者山田太郎は、次のとおり遺言する。
遺言者は、次のものが懐胎している子は遺言者の子であるから、これを認知する。
  (本籍)
  (氏名)

以下略

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