介護が必要な親族がいる場合

■ 介護が必要な親族の世話を親族に託す

介護が必要な子がいる場合、健常なほかのきょうだいにその世話を頼むというのが現実的であることが多いかもしれません。
この場合、例えば住まいを病弱な子と健常な子の2人に半分ずつ分ける、すなわち共同所有にしてやりますと、まず家屋の処分がしづらくなり、病弱な子の住まいが確保できます。
ここにおいて「2分の1ずつ」というところがミソで、病弱な子だからと多く与えてしまうと、もう一人の子が嫉妬して病弱な子を疎ましく思うことを避ける意味があります。

金融資産すなわち預金や債権、株などにおいては、ほかの相続人よりもきょうだいに多く分けることで、それが病弱なきょうだいのために使うべきものだという認識を自然にさせる効果があります。

病弱な子本人に多く財産を与えるという手もありますが、介護にはお金がかかりますので誤りではないものの、きょうだいをあくまでも平等に扱うほうが、弱いきょうだいを助けようという思いが自然に起きるということも考えられるでしょう。

■ 「特定贈与信託」という方法

特定贈与信託とは、財産を信託して特定障害者に与えていくサービスで、6000万円まで贈与税が非課税となります(相続税法施行令)。
無論のこと、特定障害者の生活や療養の必要に応じて為される出費に限って認められます。

ただし、信託財産から生ずる収益は、受益者の所得となり所得税が課税されます。
当該施行令は、「特別障害者の生活または療養に応じるため、定期に、かつその実際の必要に応じて適切に行われることとされていること」と規定しており、節約などにより余剰資金が生じ、それをもって受益者が何らかの投資をして利益を得ることを必ずしも妨げるものではありません。

特別贈与信託は、信託銀行等が扱う商品の一つになっており、サービスの内容や法律上の注意点などは、信託銀行または弁護士や税理士に相談するのがよいでしょう。

さて、介護が必要な親族が老人である場合も、考え方は子に準じます。
介護の負担をお願いしたい親族には、多めに財産を分けるようにするとよいでしょう。
なお、進んで介護を申し出た親族などに遺産を多めに与え、事情により忌避の意思を示した親族には相対的に遺産が少なくなったとしても、それぞれの承諾が取れていれば特に問題はないでしょう。

ただ、特定贈与信託の受益者が得るのはお金に過ぎず、それを介護サービスや福祉施設利用料などに充てれば、ほかの親族の助力がなくとも生きていけると考えることもできるかもしれませんが、親族にも愛情を持って手助けしてやってほしいと願う場合は、その点にも相応の配慮をすべきところでしょう。

遺言書文例

                   遺言書

遺言者山田太郎は、この遺言により次男山田清二の生活資金として次のとおり信託する。信託財産は受託者に対する定期預金債権(40,000,000円)を充てる。
  1. 信託の目的 貸付信託
  2. 受託者 四山信託銀行
  3. 受益者 次男山田清二
  4. 信託期間 受託者が信託を受けた日から□年間
  5. 信託終了の場合の権利帰属者 受益者
  6. 受託者の信託約款に従う
  7. 信託財産 金40,000,000円

以下略

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