葬式やお墓に関することを頼みたい

■ 葬儀関連の希望は通常叶えられる

人が生きること、生き方にこだわりを持つのと同じように、死に方、弔われ方にも深い関心があるものです。

「葬式はいちばん安いプランでやるように」。
「通夜、告別式には、私と同居していた家族および会社の〇〇、お世話になった△△さん以外は呼ばないこと」。
「墓は建てず、私が好きな海に散骨してほしい」。
「墓石には私の座右の銘を刻んでほしい」。

終わり良ければ、と申します。
人生の幕引き、有終の美にこだわるのは人として当然のことでしょう。
多少手間やお金がかかることでも、利害関係のない弁護士などに遺言執行者をやってもらえば、「お金がもったいない」などと渋りたい相続人の気持ちも抑え、あなたの意思は実現することでしょう。
もちろん、遺言書に弔いに関連する希望などをしっかりと書いておくことが前提条件となります。

また故人と相続人の間で、あるいは相続人同士の間で信仰観、宗派などが異なる場合があります。
宗教の正否という大げさな問題でなくとも、葬儀のやり方で相続人間に争いが生じるおそれもあります。
そうした問題が起きるのを防ぐためにも、故人の意思を遺言に明示することは重要です。

ただし、民法では、遺言として法律上の効力を生じさせることが認められている事項(遺言事項)として、弔いに関する内容を規定していません。
したがって、負担付遺贈に付帯する受遺者の義務として、葬儀にかかわる内容を盛り込むほうが確実であるとも言えます。
しかし現実には、よほど実現困難な要望でない限り、故人が望むならとすんなり叶えてもらえるものです。

遺言書を作る段階で弁護士に相談して、実現可能な内容にしていくと同時に、同じ弁護士を遺言執行者に指定すれば、職務上の責任において遺族を誘導してくれることでしょう。

■ 注意点

1.葬式は待ったなし
例えば自筆証書遺言の場合、家庭裁判所に持ち込んで検認を受けるときまでは勝手に開封できません。
検認は2~3日では終わりませんから、実用上間に合わないわけです。
なぜなら、遺言書を開封しないことには、葬儀について何と書かれているかわからないからです。

自筆証書遺言でなくても、弁護士が保管していると言っても、ぐずぐずしていては遺言の意味がなくなってしまいかねません。

そこで一つの方法として、葬儀に関する遺言は、該当部分だけを別紙に記録して、正式な遺言とは別に保管するということがあります。
もちろん、遺言書と内容が異なることがあっては絶対にいけません。

2.寺や葬儀社に事前相談
遺言者の希望がわかったら、なるべく早期に葬儀社と契約したり、「亡くなった場合はこうしてもらいたい」ということを菩提寺に伝えて了解しておいてもらうことも重要です。

遺言書文例

                    遺言書

遺言者山田太郎は次のとおり遺言する。
一、私の葬儀は〇〇宗〇〇寺で執り行うものとし、通夜ならびに告別式には、家族以外の者を呼ばないことを希望する。
また、葬儀には無用のお金をかけず簡素に済ませることを希望する。
二、火葬の後、私の遺骨の一部は、私が生まれた〇〇県に属する〇〇島の沖に散骨してほしい。
三、墓石には必ず「南無三宝尊」と彫ってほしい。
四、遺言執行者として、弁護士川原修二(住所、生年月日)を指定する。

平成25年5月25日
東京都港区青坂8丁目7番6号         遺言者 山田太郎 印

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