身寄りのない人の遺言

■ 相続人の有無は戸籍などを当たって再確認を

人は、自分と血のつながりのある人を全て知っているとは限りません。
民法の規定する法定相続人はふつう、配偶者、子(孫)、父母(祖父母)、兄弟姉妹であり、これらの人の存在を知らない人はほとんどいないと思いますが、甥や姪が相続人になるケースもあるので、自分の生前に調べておくことが望ましいでしょう。

甥姪となればきょうだいの子に当たる人ですが、きょうだいと長年没交渉になるケースは意外に多いため、きょうだいに子が何人いるかを知らないケースはありうると言えます。

戸籍などを調べても、相続人に相当する人が明らかでないことはありえます。
民法は「相続人不存在」の場合の遺産の管理、清算の方法を定めています。
具体的には、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任しこれに当たります。

相続財産管理人は、相続財産の清算(故人の借金の返済)や相続人の捜索(官報などで調査)をし、その結果残った財産があれば国庫に納めます。

さて、自分で相続人を調べてみたところどうもいないようだとなったときには、国庫に帰属してしまう前に、お世話になった人などがあれば、その人に遺産を遺贈する旨を遺言しておきたいものです。

■ 遺言執行者を必ず指定する

相続人になる身内がいないとわかった以上、遺言執行者を指定しておかなければ、あなたの死後に遺言書と読んでくれる人さえいないということになりますので、そうなっては遺言の意味がまったくなくなってしまいます。

遺言執行者は専門家である弁護士が望ましいので、いかなるケースでも遺言執行者は信頼できる弁護士を指定しておきたいものですが、これは絶対的なものではなく、相続人やそのほかの人が遺言執行者になれないわけではありません。
ただし身内がいないのですから、事情にかんがみて弁護士を雇うことはほぼ必須となります。

なお、遺言書を誰かに預けたり、遺言書の存在を教えておき自分の死後に読んでくれるよう誰かに頼んだりすることは結構ですが、それは遺言執行者にやってもらえばよいことです。

また、肝心の遺言の内容ですが、お世話になった看護師さんや近所の人にお金や土地を譲るとか、さらに残ったお金は慈善団体に寄付するなどと指定することができます。
また、遺産を奨学基金などにして、遺言執行者に管理してもらったり、負担付遺贈をして受遺者に管理してもらうといったことも遺言書で指定することができます。

遺言書文例

                    遺言書

遺言者山田太郎は次のとおり遺言する。
一、相続財産のうち、次の土地については献身的に遺言者の介護をしてくれたお礼として次の者に遺贈する。
   〔土地の表示〕
   〔受遺者の住所、氏名〕
二、上記以外の財産はすべて換価処分し、葬儀にかかる諸費用、遺言執行者への報酬を除き、次の団体に寄付する。
   (住所)
   (団体名)
三、本遺言の執行者として次の者を指定する。遺言執行者への報酬は第二条で換金された売得金の10%とする。
   (住所)
   (氏名)

平成25年5月25日
東京都港区青坂8丁目7番6号           遺言者 山田太郎 印

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