法定相続人以外の人に遺産を譲りたいとき

■ 遺産を譲りたい人が法定相続人になるとは限らない

人の死をもって相続が始まります。
相続とは、亡くなった人が有していた権利、義務の承継です。
民法には、この権利、義務を相続する人を定めています。
これを「法定相続人」と呼びます。
法定相続人は、亡くなった人の配偶者を筆頭とし、その子、親、兄弟姉妹などが想定され、一定の順位に従って決定されます。

反面、上記の続柄にあたる人以外の人は、けっして法定相続人になることはできません。
ですから、法定相続人以外の人に遺産を譲りたいときは、遺言書が必要になります。

■ 法定相続人以外の人には「遺贈」を定める

遺言によって、誰にどの財産を承継させるかを指定し、承継させることを「遺贈」と言います。
遺贈をする相手は法定相続人である必要はなく、いわゆる他人や団体を指定することも可能です。

遺贈できるのは財産だけではなく、お墓を守ることを頼む(祭祀の承継)とか、内縁の妻との間の子を認知するなどにも用いることができます。
ただし、これは遺贈の特殊な例で、財産の承継を定めるのが遺贈の典型的な例となります。

さて、遺贈には2種類あって、「特定遺贈」と「包括遺贈」とに分かれます。
特定遺贈とは、特定の財産を特定の人に遺贈するよう定めることです。
〇〇銀行△△支店の預金、どこそこの土地、どこそこのアパート、あるいはこれこれの宝石といったように定め、それらを特定のだれそれにという書き方をします。
包括遺贈は、「財産の〇分の1」というように定め、それを特定のだれそれにという書き方をします。

上記の「だれそれ」に当たる人として、あなたが財産を遺したい人の名前を記載します。

遺言書文例
上:特定遺贈の文例 下:包括遺贈の文例

遺言者山田太郎は、次のとおり遺言する。
一、遺言者は、川辺次郎(住所、生年月日)に、遺言者の次の財産を遺贈する。
   1. 四山銀行東京支店の全ての預金
   2. 〔土地の表示〕
   3. 〔建物の表示〕
二、遺言者は、前項に定める以外の遺言者のすべての財産を、遺言者の長男山田慎一に相続させる。
三、本遺言の執行者として次の者を指定する。
   (住所)
   (氏名)

平成25年5月25日
東京都港区青坂8丁目7番6号                  遺言者 山田太郎 印
遺言者山田太郎は、次のとおり遺言する。
一、遺言者は、川辺次郎(住所、生年月日)に、遺言者のすべての財産の2分の1を遺贈する。

以下略


■ 「死因贈与」という譲り方もある

「死因贈与」とは、ある人の死をもって発効する財産の承継契約のことです。
「契約」と言う以上、受遺者の合意がなければ無効になります。
受遺者の合意は遺言者(贈与者)の生前にあらかじめ行われなければなりません。
財産なら誰でももらってくれるとは限らず、まして祭祀の承継や借金の承継など、受遺者の負担を伴うものは、むしろ受遺者の合意が必要なことは言うまでもないでしょう。

受遺者の合意を必要としない遺贈とするか、むしろその合意が必要と判断したら死因贈与とするとか、検討の余地がある場合もあります。

このページの先頭へ