遺言古今東西

■ 遺言に対する関心の高まり

遺言を公正証書にする「公正証書遺言」は年々作成件数が増加しており、平成18年の統計によれば、平成10年に比べて30%も増加しました。

遺言はどうせ作るなら公正証書にするべきで、公正証書とは、公証役場に持ち込み、公証人の証明を受けたものを言います。
さらに、全て本人の自筆で作成する「自筆証書遺言」もあります。
自筆の遺言も、公証役場へ持ち込むことで公正証書とします。

また、公正証書でない遺言は、家庭裁判所へ持ち込んで「検認」を受けることで、相続人間の争いを収めようとします。
この検認も増加する傾向にあります。

■ 古代ローマ帝国の遺言制度


紀元前500年ごろの古代ローマ帝国では、すでに遺言書を作るという制度があったようです。
「共同相続人」と呼ばれる、被相続人の権利義務継承の権利を有する全ての人の中から、一人の男子を選んで全ての遺産を譲ることが認められていました。
これは、土地の分散を防ぐために行なわれたとされています。

■ 奈良時代からある遺言制度

わが国でも、古くは奈良時代には遺言による遺産の処分が、制度上認められていました。
もっとも、明治期から戦前にかけては、特定の個人(多くの場合長男)が家督を相続するという制度があったため、この時期には遺言書が作られるということはほとんどありませんでした。

戦後になると、家督相続制度は廃止されます。
長男だけでなく配偶者、全ての子、親、きょうだいへ、一定の割合で相続されることが、新たに民法に規定されます。
このことにより、遺言書が無い場合は、「法定相続人」に一定の割合で遺産が分配されることになります。

ところが、どの遺産を誰に譲るかについては法律による規定が無いため、遺言書が無い場合に裁判になるケースが増えてきたわけです。

■ 遺産分割調停

遺産相続にかかる裁判と同時に、家庭裁判所で行なわれる「遺産分割調停」の件数も年々増加しています。
これは、裁判官の仲介を得ながら、相続人たちが遺産の分割について話し合う場です。

このことは、遺言書を作っておきさえすれば防げるのにもかかわらず、それをしなかったばかりに、相続人たちの間でいさかいが起きてしまうという悲しむべき出来事と言えると思います。

■ 遺産をめぐる紛争解決には時間がかかる

遺産分割調停の件数は年々増加しており、平成16年から10,000件を超えています。
調停では決着がつかず、裁判所が遺産の分割についての決定を下す「審判」の件数も増加傾向にあります。
遺言書の作成件数も増加傾向にありますが、遺言書が無いための争いも増えているということになります。

審理にかかる期間は、半数以上が6ヶ月以上を要しています。
うち5%以上が3年以上という長期間を費やしています。
座して待つだけということにはむしろならず、解決までの審理回数は6~10回が大半を占め、11回以上にわたるケースが17%以上になっています。

■ 海外の遺言事情

ほとんどの国で遺言制度が法律で定められています。

アメリカ合衆国では遺留分がきわめて限られており、遺言書で決めることができることの範囲が日本よりも広くなっています。

中国では、公正証書、自筆遺言、危急時の口頭遺言が法律で認められていますが、遺言書の作成は一般的にはなっておらず、法定相続に従うケースがほとんどのようです。

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